新型コロナウイルスの影響で急遽テレワークを導入した企業などへのテレワーク実態調査の結果を発表

テレワーク実態調査の結果を発表

2020年4月は、働き方改革関連法が本格的に施行され、時間外労働規制の中小企業への拡大、ならびに大企業における同一労働同一賃金が適用されるタイミングでした。しかし今となっては、誰も想定しなかった要因によって、「働き方改革」がかつてないスピードで進展しています。「テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)」の導入拡大は特筆されるべき変化の代表格であると同時に、さまざまな事情や懸念から「働き方」を変えられずにいる方々も大勢いらっしゃいます。本調査によって、テレワークの実態が少しでも明らかになることで、社会における適用範囲が広がることにも期待したいと考えています。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤島 敬太郎)組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業に勤務する、終日・半日・一部業務のみの少なくともいずれか1つの形態のテレワーク経験がある一般社員664名、管理職253名に「テレワーク緊急実態調査」を実施し、【テレワークの「ワークの質」「ライフの質」「業務ストレス」への影響と改善要因】【テレワーク環境下で、感謝や助け合いといった協働志向のケア的なコミュニケーションを促す方法】など、調査結果から見える実態について公表しました。

テレワーク環境下で、ワーク・ライフ・バランスはどう変化したか

テレワーク環境下におけるワーク・ライフ・バランスの変化のパターンの可視化のため、テレワーク経験者における、テレワーク下の変化の3因子「ワークの質の変化」「ライフの質の変化」「業務ストレスの増減」の組み合わせに、5タイプの変化パターンを見出しました

<4割は、ワークの質・ライフの質・業務ストレスともに変化しない>
・最も多かったのは、3因子がいずれも変化しないパターン(タイプ④)で40.3%
という結果になりました。やはり、技術が発達したことによって従来と変わらない業務が自宅でも行えるようになっているのかもしれません。

<「ワークの質の向上」は、「ライフの質の向上」とセット>
・企画の質や作業効率、仕事への責任感や会社への好意的な感情などの「ワークの質の向上」が見られるのは、タイプ①(12.4%)とタイプ②(10.7%)で、合わせて23.1%
・タイプ①と②はいずれも、心身の健康や家族との関係性などの「ライフの質の向上」も併せて見られ、いわゆる「ワーク・ライフ・エンリッチメント(相互充実)」が生じている。
つまり、通勤時間などの短縮や、家族と過ごせる時間が増加したことによってこれまで以上に生活が豊かになったと実感している人が多いようです。

「テレワークの習熟度」が、テレワーク環境下でのワーク・ライフ・バランスに影響を及ぼす

​結果のポイントは以下のとおりです。

<テレワーク歴・頻度によって、ワーク・ライフ・バランス変化タイプの分布が異なる>
・「ワークの質・ライフの質が共に向上、業務ストレス減少」(タイプ①)の出現率は、「④TW歴長・頻度高」「③TW歴長・頻度低」「②TW歴浅・頻度高」「①TW歴浅・頻度低」の順で高くなる。反対に、「ワークの質・ライフの質が共に向上、業務ストレス増加」(タイプ②)の出現率は、この順で減少する
通勤やオフィス勤務に関連する何らかの理由で、業務の生産性や個人的な生活の質に改善の余地があった人々にとっては、テレワーク環境は、業務の生産性も個人的生活の質も高める要因となり得ることが示唆されました。ただ、図表1で、ワーク・ライフ・エンリッチメント(相互充実)を経験する人の半分は、業務ストレスも高まることが分かり、テレワーク環境に慣れないうちは業務ストレスも高まることもあるようです。しかし、時間が経過することや経験が増すことによって、業務ストレスを減少させるスキルが身についたり、環境が整っていったりすることが推測されます。

時間経過や経験の増加以外による、テレワークの「ワークの質」「ライフの質」「業務ストレスの大きさ」の改善要因

<分析方法>
図表2から、テレワークは時間経過や経験の増加により「ワークの質」「ライフの質」「業務ストレスの大きさ」が次第に改善されていくことが示唆されました。それ以外の要因がないか、5つの観点[①セルフマネジメント ②管理職のマネジメント ③外部環境 ④組織特性 ⑤職務の特性]から分析しました。

①セルフマネジメント
テレワーク環境での先行研究もあるHoughton & Neck(2002)のセルフリーダーシップ尺度(Self-Leadership Questionnaire)を翻訳して検証に用いました。5つの要素のうち、「達成状態を描く」「自らゴールを設定する」「前提を見直す」の3要素9項目を測定し(図表3)、9項目の平均点を分析に用いました。

②管理職のマネジメント
一般社員には直属上司の、管理職には自身のマネジメントスタイルを回答してもらい、「直接支援型マネジメント」として3項目をオリジナルで、「自律支援型マネジメント」として4項目を中原(2010)を参考にして作成しました。2つのマネジメントスタイルは相関係数0.74と強い相関を示しており、いずれも部下に関心を向けるマネジメント行動という点では共通しているようです。


③外部環境「市場環境の厳しさ(3項目)」
④組織特性「人材不足(2項目)」「大企業病傾向(5項目)」「柔軟性志向のHRM(9項目)」
⑤職務特性「自律的な職務設計(9項目)」「職務の相互依存性(2項目)」

以上から、外部環境から本人行動までのどの要素がテレワークに影響しているかを分析しました。
その結果を、それぞれのテレワーク下の「ワークの質の変化」「ライフの質の変化」「業務ストレスの増減」との相関係数が大きい順に並べました。(図表5)

​結果のポイントは以下のとおりです。

<「ワークの質」の向上に関係があるもの>
・一般社員では、「セルフマネジメント(.364)」「自律的な職務設計(.311)」「柔軟性志向のHRM(.290)」の順で相関関係が見られた
・管理職では、「柔軟性志向のHRM(.391)」「セルフマネジメント(.333)」「自律的な職務設計(.289)」の順で相関関係が見られた
どちらも順位は違いますがセルフマネジメントは、ワークの質、ライフの質ともに影響を及ぼすことが分かり、また、本人の工夫に任せる部分があり仕事の全体像や責任・成果が明確な「自律的な職務設計」も重要であることが明らかになりました。

<「ライフの質」の向上に関係があるもの>
・一般社員では、「自律的な職務設計(.309)」「セルフマネジメント(.264)」「自律支援型マネジメント(.232)」の順で相関関係が見られた
・管理職では、「柔軟性志向のHRM(.331)」「自律的な職務設計(.328)」「セルフマネジメント(.259)」の順で相関関係が見られた

<業務ストレスの増減に関係があるもの>
・一般社員では、「職務の相互依存性(.254)」「直接支援型マネジメント(.230)」「大企業病傾向(.200)」の順で相関関係が見られた
・管理職では、「職務の相互依存性(.278)」「直接支援型マネジメント(.165)」「大企業病傾向(.141)」の順で相関関係が見られた
一方、テレワーク下の業務ストレスに関連するのは、チームメンバーと互いに業務の進捗が影響し合う「職務の相互依存性」、ルールや制約の多さ、内向きだったり受け身だったりする仕事姿勢を示す「大企業病傾向」という結果となりました。

また、自律支援型マネジメントと直接支援型マネジメントは、いずれもワークとライフの質的向上に関連があることが分かりました。自律できるように仕事を任せながら情緒的・情報的な支援をするマネジメントも、きめ細かい指示・指導やモチベーション管理をするマネジメントも、非対面・非集合の環境下で業務を前に進める支えになっているようです。しかし、業務ストレスの観点から見ると、直接接点を持って支援するきめ細やかなマネジメントスタイルは、部下のみならず管理職自身の負担も大きい可能性がうかがえました。職務の再設計と併せて、マネジメントスタイルも自律とつながりの支援をするスタイルに変革していく意義が示唆されます。

テレワーク環境下で有効な「ケア的コミュニケーション方法」とは

感謝や助け合いといった、協働志向のケア的なコミュニケーションは、テレワーク下のどのような環境に支えられているのかを明らかにするために、マネジメント環境(図表5と同様に「外部環境」「組織特性」「職務特性」「上司のマネジメントスタイル」「セルフマネジメント」)・インフラ環境(通信インフラやコミュニケーションツールなどの利用と習熟)と、協働志向的なコミュニケーションの変化との相関係数が大きい順に並べました。

​結果のポイントは以下のとおりです。

<協働志向コミュニケーションの増加に関連があるもの>
〇「外部環境」「組織特性」「職務特性」「上司のマネジメントスタイル」「セルフマネジメント」
・一般社員では、「直接支援型のマネジメント(.301)」「柔軟性志向のHRM(.297)」「職務の相互依存性(.280)」の順で相関関係が見られた
・管理職では、「柔軟性志向のHRM(.362)」「直接支援型のマネジメント(.212)」「セルフマネジメント(.166)」の順で相関関係が見られた
直接支援型のきめ細かいマネジメントスタイルが、一般社員・管理職いずれでも上位となり、管理職が協働志向コミュニケーションのハブ(結節点)となっていて、協働志向コミュニケーションは、いうなれば管理職の業務負荷と引き換えに促進されていることがうかがえました。
また、「柔軟性志向のHRM」も、一般社員・管理職いずれにおいても上位であり、幅広いスキルを身に付けることを意図した異動配置や情報開示のポリシーが、協働志向コミュニケーションを支えている可能性が示唆されました。

〇通信インフラやコミュニケーションツールなどの利用と習熟
・一般社員では、「管理職の負荷の高さ(.308)」「オフィスに居る人への業務の偏り(.206)」「通信回線等のインフラやツールの未整備(.163)」の順で相関関係が見られた
・管理職では、「ビデオや音声での会話(.144)」のみ、統計的に有意な相関関係が見られた
以上の結果から、ツールの習熟度や、特定の人への負荷の集中が懸念されていることが明らかになりました。

参考情報

【調査発表】新型コロナウイルスの影響で急遽テレワークを導入した企業やビジネスパーソン必見!テレワーク実態調査 結果を発表(後編)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000029286.html

株式会社リクルートマネジメントソリューションズWebサイトの調査レポート
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000851/

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