労働時間やハラスメントが問題視されている昨今。
改善している企業が増えてきましたが、未だに「ブラック企業」と囁かれてしまう会社もしばしばあります。「私の会社ってもしかしてブラック企業かも…?」と気にしている方も多いのではないでしょうか。
そこで日本労働調査組合は、全国の20~49歳で会社員の男女516名を対象に「ブラック企業に関するアンケート」を実施。その結果「現代のブラック企業」の本質が見えてきました。
約3人に1人が自分の勤務先を「ブラック企業」と思っている
回答は「思う」が31.2%、「思わない」が48.6%、「わからない」が20.2%という結果となりました。つまり、約3人に1人が自分の勤め先を「ブラック企業」だと思っているという事実が明らかに。また、「わからない」と回答した人も含めると、自分の勤め先を「ブラック企業だ」「ブラック企業かもしれない」と思っている人が51.4%に昇ることも判明しました。
なお、2014年に実施した同調査では、「思う」が26.9%、「思わない」が73.1%だったので、今回の調査では「思う」と回答した人は4.3ポイント増、「思わない」と回答した人は24.5ポイント減となりました。
若い世代ほど「ブラック企業だ」という回答が多い
結果を年代別に見てみると、若い世代ほど「ブラック企業」だと思う傾向が強いことが明らかになりました。世代によって理想の働き方に対する考え方が異なっているのかもしれません。また、役職がつくと自分でチームを動かし、働きやすい環境を作ることも可能です。その結果が年代別の数字に表れている可能性があります。
ブラック企業の定義の第1位は断トツで「サービス残業」
「あなたが思うブラック企業の定義を教えてください」という質問では、断トツで「サービス残業」が第1位に。次いで「ハラスメント」、「長時間労働」、「残業が多い」という結果になりました。残業代が支払われないことは、本人のモチベーション低下にも繋がるので、早急に企業側に是正していただきたいところです。
続いて、カテゴリ別の比率を見てみると、第1位が「労働時間」、第2位が「ハラスメント」、第3位が「休日」という結果になりました。約7割が「労働時間」を挙げていることから、プライベートの時間を重要視する人が増え、拘束時間が長いことを避ける傾向が高まっているように思います。
ブラック企業と体感した皆さんのエピソードをご紹介
最後に、実際に「ブラック企業」だと体感した皆さんのエピソードを紹介します。「分かる!」と納得してしまう方がいたら、危険信号かもしれません…。
労働時間
・連日信号が点滅するまで働いている
・残業代が30分ごとに出るが強制的に29分でタイムカードを切らされる
・上司から「サービス残業ではなく思いやり残業だと思って仕事しろ」と言われた
・定時8:30~だが7:30迄の出社を強制される
ハラスメント
・業務チャットツールの個人同士でのやり取りを管理職が閲覧している
・昇格制度について質問をすると昇格には「上に媚びること」と言われた
・社内全体会議の司会進行には必ず若手女性社員がアサインされる
休日
・有給を使うと周囲から引かれる
・休日を取ると出張の移動日にさせられる
・上司は土日休みだが自身は平日休みで土日出勤
給与待遇
・退職連絡をしたら退職日を迎えるまでに社会保険を解約されていた
・残業しなければ終わらない業務量なのに残業するとボーナス査定が下がる
・毎日残業休日無しで働いているのに平均月収よりも安い
その他
・一時給付金受給のために従業員を休業として届け出ているが実際は業務のために出勤させている
・本人が特定されないはずの内部通報制度で本人が特定される
・ブラック企業大賞に会社がノミネートされたら給与が上がった
「真のホワイト企業」とは?
今回の調査の結果から分かったことは、【労働時間を管理すれば、約7割のブラック企業懸念が解消される】ということでした。
- 残業が少ない(仮に残業してもその分の賃金は支払われる)
- あらゆるハラスメントがない
- 休日が十分に取れる
上記が当てはまる企業こそ、「真のホワイト企業」と言えるのではないのでしょうか。
今後は年功序列ではなく、成果主義の時代とも言われています。「基本給+残業」ではなく、「基本給+成果」へと価値観を転換することが雇用主には必要かもしれません。
日本労働調査組合について
団体名:日本労働調査組合
所在地:東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター10階
執行委員長:安達 雄也(アダチユウヤ)
設立日:2021年1月15日
団体URL:https://nichirou.com/
サポートURL:https://nichirou.com/taisyoku
主活動内容:労働に関する調査と情報発信
【今回の調査概要】
調査名:ブラック企業に関するアンケート
調査対象:20~49歳の会社員516名
調査地域:全国
調査期間:2021年6月1日~2021年6日8日
調査方法:インターネット調査
日本労働調査組合では、定期的に労働調査結果を発表しています。
その他の労働調査結果は以下URLよりご覧いただけます。