「ヘルプデスクに将来性ってあるの?」
「ヘルプデスクってどんな仕事をするの?」
上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、「ヘルプデスクの現状と将来性を上げる方法」「ヘルプデスクの仕事内容」の2点について詳しく解説していきますので、ヘルプデスクの将来性を見極めることができます。
ヘルプデスクの将来性について見極めておくことで、あなた自身に最適なキャリアの選択が可能となります。
ヘルプデスクの現状と将来性を上げる方法
ヘルプデスクは現状、将来性があるとはいえません。
まず、ヘルプデスクの仕事は30代以降から人材過多傾向にあります。経験年数の豊富な30代が増加傾向にあるということです。
この影響から、「同じスキルを持っているなら、年収が安く済む若い人を雇いたい」という採用が一般的になり、35歳、40歳を境目に少しずつ仕事が減っていくという実状があります。
また、ヘルプデスクは非正規雇用が多いため、年収が上がりにくいという側面もあります。
年収というのは会社に評価される年数が継続して徐々に増えていくものですから、派遣社員のように転々としていては年収が増えないというわけです。
年収が上がりにくいもう一つの理由として、「専門性が低いから」というのもあります。
もちろん、ヘルプデスクには一定の専門性が必要にはなるのですが、PC、OA機器、ネットワークの知識があればできる仕事ですので、専門性は比較的低いといえます。
しかし、そんなヘルプデスクもキャリアアップを考慮することで将来性が上がります。
次項で詳しく紹介していきます。
キャリアップを考慮すれば将来性は大幅に上がる
キャリアアップを考慮するというのは、仕事を続けながら次の仕事へのステップアップを考えるということです。
では、ヘルプデスクとして働く人は、どのような仕事にキャリアアップしていくのでしょうか。以下で解説していきます。
エンジニアへキャリアアップ!
現実味があり、専門性の高い職種といえばエンジニアへのキャリアアップです。
そして、ヘルプデスクからITエンジニアを目指す人は多いです。
ただし、ヘルプデスクからエンジニアへのキャリアアップでほとんどの割合を占めているのが「インフラ系エンジニア」であり、次いで「VBAプログラマー」が多いという状況にあります。
基本的には、下記のような流れでキャリアアップを図ります。
- 情報システム部門でヘルプデスクの仕事をこなす
- 独学でDBやインフラについて勉強する
- SQLなどを使い、システムの運用保守・インフラ管理のプロジェクトへ異動する
- CCNAやLPICなどのITインフラ系資格取得をして転職しエンジニアにキャリアチェンジ
ここで唐突にでてきた「DB」「SQL」を簡単に解説しておきます。
【DB(ディービー)】
DBは、「データベース」の略称であり、プログラム言語ではありません。
DBは、ある特定の条件に当てはまる「データ」を複数集めて、後で使いやすい形に整理した情報のかたまりを表すものです。
一般的には、コンピュータ上で管理するデータをデータベースと呼ぶことが多いですが、紙の上で管理する「電話帳」「住所録」なども、データベースの一種になります。
【SQL(エスキューエル)】
SQLは、プログラム言語の一種です。データベースに蓄積したデータを操作したり、定義するために用いる言語となっています。
SQLを用いることで、10万件、100万件といった膨大なデータを効率的に取得・更新・削除・追加することができるようになります。
以上のことから、エンジニアにキャリアチェンジを行えば、将来性は非常に高くなるといえるのです。
ヘルプデスクに加えてスキルを身に付ける
どの仕事にもいえることですが、新たにスキルを身に付けることで将来性もグンっと上がります。
ヘルプデスクの場合、将来につながりやすいスキルは「語学力」「VBA+もう一つの専門スキル」が考えられます。
英語力を身に付けることで、「外資系企業のヘルプデスク」の仕事につけるようになります。
「VBA開発+もう一つの専門スキル」を身に付けることで、VBA開発の仕事に就くことができます。さらに、「セキュリティ」「Office365導入」「ActiveDirectory運用」などのような常に一定のニーズがあるスキルを身に付けることで、ヘルプデスクとしての将来性はさらに上がります。
【VBAとは?】
VBAとは、Microsoftが提供するアプリケーションで使用できるプログラミング言語です。
ExcelやWordのファイルで使われることが多く、よく初心者におすすめされる言語でもあります。Excel、Wordの上級者が利用するものという認識でOKです。
ただし、ヘルプデスクからの将来のキャリアとして、「社内SE(社内ヘルプデスク)」「プログラマー」は非常に少ないということは知っておくとよいです。
理由としては、社内SEには「コミュニケーション・地頭」「幅広い経験」「専門性」の3点が必要とされるだけでなく、「プログラマー」「インフラエンジニア」などの経験が求められるからです。やはり、Python、Ruby、Javaなどのような高いニーズを持つ言語での実務経験がほしいところです。
ヘルプデスクってどんな仕事?給料は?
ここまで読んでいただき「ヘルプデスクいいかも」と思った方もいるかもしれません。
そこで以下では、ヘルプデスクの仕事内容や年収について紹介していきます。
ヘルプデスクの仕事内容
ヘルプデスクとは、主にパソコンやシステムにおいて技術的サポートをする仕事です。
サポートする相手によって、「社内ヘルプデスク」「社外ヘルプデスク」の2種類に分類されます。
社内ヘルプデスクは、自社の社員から寄せられた社内システムに関する問合せの対応が主な仕事になります。具体的には下記のような困りごとをサポートします。
- Wi-Fiの調子がおかしい
- メールの送受信ができなくなった
- プリンタの接続方法や用紙の詳細設定がわからない
上記の他にも、パソコンの初期設定や基本操作に関する問い合わせもあれば、「ソフトウェアがインストールできない」「システムエラーが表示される」など、依頼内容はさまざまです。
そのため、社内ヘルプデスクの対応範囲はとても幅広いという特徴があります。
仕事をこなしていくためには、社内ITシステムにまつわるあらゆる知識が必要となるのです。
ちなみに、社内ヘルプデスクに類似する仕事として、社内SEがあります。
実は社内SEとヘルプデスクには、厳密な区別はなく、業務領域が重なる部分も多いのですが、下記の仕事については社内ヘルプデスクは対応しません。
- システム運用
- 社内のシステムやインフラの構築
- 運用保守・管理といった業務システムの導入
以上が社内ヘルプデスクの特徴です。
一方、社外ヘルプデスクは、「自社のシステム・機器を卸している企業」「自社が提供しているITサービスの利用者」などのお客さまをサポートします。
社外ヘルプデスクでは、メールや電話で応対するケースもあれば、納品先に出向いてトラブル対応をする「オンサイト型ヘルプデスク」もあります。
また、ユーザー(お客さま)の問い合わせ窓口の担当者として、解決策を講じたり、解決できないような大きな問題に対しては、対応する部署につなぐパイプの役割も果たします。
結論、社内ヘルプデスクは社内のサポートを行い、社外ヘルプデスクは社内のお客さまに対しサポートを行っていきます。
ヘルプデスクの年収
ヘルプデスクの仕事の平均年収は約449万円であるため、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。(参考:求人ボックス『ヘルプデスクの仕事の年収』https://求人ボックス.com/ヘルプデスクの年収・時給)
年収を月給で換算すると37万円、初任給は21万円程度が相場となり、派遣社員、アルバイト、パートでは平均時給がそれぞれ1,706円、1,003円となっています。
求人ボックスで正社員の給料分布を見てみると、もっとも多いのは430〜514万円の年収水準となっており、平均年収の449万円もこの水準の中に含まれています。
全体の給与幅としては347〜1,014万円と比較的広いため、勤務先や経験・求められるスキルによっても大きな差があることが分かります。
向いている人の特徴
向いている人の特徴は下記の通りです。
- パソコンやオフィスソフトに関する基礎知識を持っている人
- 社交的でコミュニケーション能力がある人
- ビジネススキルを持つ物腰のやわらかい人
などです。それぞれについて、詳しくみていきましょう。
まずヘルプデスクは、ITに関する専門知識がないユーザーがサポート対象となる場合が多いため、パソコンやオフィスソフトに関する基礎的な知識が必要不可欠です。
また勤務先がサービスとして扱っているシステム、勤務先が販売しているデジタル製品などに関する知識を習得していく必要もあります。
実際の業務では、「システムの操作法」「トラブルの対処法」などを社員や顧客に説明し、意味を理解してもらいます。
対面ではなく、メールや電話での応対になることがほとんどです。そのため、相手の説明や意図をくみ取りながら、原因を究明し、解決に導くというような高いコミュニケーション能力も要求されます。
そのため、ヘルプデスクには社交的な人が向いているといえます。
また、物腰のやわらかい人も向いている特徴の一つです。
なぜなら、商品の説明やトラブルの解消法を伝える際、相手の機嫌を損ねたり、クレームに発展することを避けなければいけないからです。このことから、ヘルプデスクにおいて、言葉遣いやビジネスマナーも大切であることが分かります。
「いろいろと大変そうだなぁ」と感じる方も多いかもしれませんが、ヘルプデスクになるために特別な資格は必要ありません。
むしろ、質問集や社内マニュアルが用意されている場合がほとんどであるため、未経験者でも活躍できる職種です。
テクニカルサポートとの違いとは?
「テクニカルサポートとヘルプデスクって何が違うの?」という疑問を持つ人もいると思います。
テクニカルサポートとヘルプデスクは、「顧客からの問い合わせを受け、顧客が抱えている課題を解決に導く職種」という点では同じです。
ただし、テクニカルサポートとヘルプデスクの間には、「仕事内容」「求められる知識レベル」の2つの点で明確な違いがあります。
たとえば、お客さまから「PCがフリーズしたので解決してほしい」といった問い合わせがきた場合、ヘルプデスクとテクニカルサポートでは下記のように対応方法が変わります。
【ヘルプデスクの場合】
- フリーズが発生した時の状況や頻度をヒアリングし、PCの再起動、特定のアプリケーションのシャットダウンなどの手軽な対策を案内する
-
案内した対策を講じてもフリーズが発生する場合は、テクニカルサポートへ引継ぎの対応を要請する
【テクニカルサポートの場合】
- お客さまのPC内に記録されているエラーログを送付してもらう(この際、エラーログの見方や送付方法も案内する)
-
エラーログを自らで分析し、診断ソフトによる調査を行う
-
故障の原因となる箇所を究明し、修理に必要な対応を案内する
上記のように、テクニカルサポートは、企業の情報システム担当者や社内SEとコミュニケーションをとり技術的な内容をやり取りすることもあります。
また、テクニカルサポートは実際に現場に出向き、ハードウェアの故障対応を行うこともあります。この場合は、フィールドエンジニアやサービスエンジニアのような働きを求められるのも特徴の一つです。
まとめ
この記事では、ヘルプデスクの将来性や仕事内容について紹介してきました。
「将来性がない」と思われがちなヘルプデスクですが、実は未経験でも活躍できるうえに、キャリアアップを考慮することで将来性もアップする職業であることが分かっていただけたと思います。
また、ヘルプデスクはどういった会社で勤務するかによって業務内容や持つべき知識が大きく変わる職業でもあります。
そのため、会社のことをよく知る人や転職アドバイザーなどに前もって相談することをおすすめします。